こうして私が脳内で突っ込みをしていると、一際豪華なスーツをビシッと着こんだ男の人が近づいてきた。
「お久しぶりです。兄上。そちらの女性は?」
人の良さそうな笑みを浮かべ、私の方に視線を移すが、その笑顔は偽物だと感じた。
「あぁシオン。こちらは遠く離れた国から来た
葵だ。」
「お初にお目にかかります。ご紹介に預かりました。葵でございます。本日はご生誕、大変おめでとうございます。」
「これはこれは。これほど美しい女性に祝っていただけるなど、嬉しい限りです。今日は是非、楽しんで下さいね?」
あ、まただ。
あの作り笑い。なんかイライラする!
「ありがとうございます。では・・・」
そう言って、お互いにその場を立ち去ろうとすれ違ったその時、
「その作り笑い、分かりやすいですよ?」
そう呟いたのはもちろん、
私です。