あのあと、お互いに他愛ない話をし、夕食を一緒にとることになった。


「メイドに支度を頼んでおく。俺も支度が終わったら葵の部屋にいく。いいな?」


「はい、分かりました。」


それだけ言うと、王子様は部屋を出た。


と同時に、控えていたリセが出てきた。


「それじゃあ葵?」


「な、なに?」


「レッツ・ドレスアップ・ターイム!」


声高らかに叫んだと思えば、


案の定、飛びかかってきました。


数分後、私はさっきまでのドレスよりもさらに豪華なドレスを身にまとっていた。


「さっきのよりもキレー」


若干放心状態で感想を述べた。


「でも、私には似合わない。」
   

今のドレスは白。それも純白。シンプルだが、圧倒的な存在感を放つ。それはまるで芸術作品のようで、心の荒んだ私には、到底似合わなかった。


「何を言ってるの!」

リセが大声をあげた。


「私は今まで、いろいろな金持ちに仕えてきたけど、葵程、外見も内面もきれいな人は見たことがないよ!」



ポロポロ


気がつくと頬を熱いものがつたっていた。


涙を流したのはいつぶりだったかなぁ


そんなことを考えながら涙をぬぐう。

「あぁもう!せっかくのお化粧がぁ~!」