「な、なんでもないよ?大丈夫。」


不覚にも、声が震えてしまった。


すると、王子様が女の人に冷たい視線を向けた。


「お前らのような最低な女共に、ここの立ち入
 りを許した覚えはない。今すぐ出ていけ。」


「ぇ、え?」


焦ったように呟く女の人を無視し、王子様は視線を私に向けた。


「大丈夫か?」


「は、い。平気です。あ、の、部屋へ戻っても
 いいでしょうか?」


「な、アレン様!この女はいいんですの?!」


「はぁ、お前もしつこいな。葵には許可を出し
 ている。分かったら2度と葵に近づくな。」


「葵様っ?!」



王子様と女の人の会話と、リセの悲鳴を最後に、私は意識を失った。