○英斗side



いつもどおり、
2人で帰っている途中のことだった。


「すいか?」


急に何なんだ。
意味がわからない。
聞き返した俺と目が合ったあいつは、
慌ててそっぽを向いた。


「なっ、なんでもない!
すいか食べたくなったの!!!」


すいか?
またこんな冬の日に、なんで。


「英斗も食べたくないー?すいか!
たまに、急に食べたくなるんだよね!」


そう言って、えへへ、と笑った。
いや、別にそんなことないんだけど…


「……っ!!」


ふいに、俺に向けられた笑顔。
とくん、
心が飛び跳ねたのがわかった。


「…冬にすいかなんか売ってねーよ。」


顔を背けながら言うと、
そうだよね、と、苦笑いした。