夢を見た
今日もあの夢
後ろ向きで顔が見えないけど
女の子が切なそうな声で何かを言っている
内容は聞き取れない
だけど、心臓が押しつぶされそうな
気持ちにはなる
なんだ…………この感情
あぁ…そうだ
「………て…………」
これは_____
「……………て……………らっ」
バシン
「ぃって!」
「もう!起きてってたら!」
「あ?………わぁったよ」
せっかく'あの夢'を見てたってのに
俺を夢から覚まさせた……てゆーか
たたき起こしたやつ
「ほら!朝だよ。学校だよー!」
神崎彩奈-カンザキアヤナ-
俺の双子の妹
顔は似てないから二卵生だけど
まぁ双子ってことには変わりない
「おう………さんきゅ」
まだ頭が寝ぼけてるせいか
ぼーっとしている俺
まだ6時じゃねーか
4時間睡眠………まぁ寝たほうだな
そんなことを考えていると
「朝ごはん出来たわよ〜」
母さんのいつもの声が聞こえてきた
着替えて1階のリビングに行く
「おはよう悠斗」
「あら、今日は早いじゃない」
「お母さん!私が起こしたのー!」
「悠兄が早起き?今日は台風じゃ?」
父さん、母さん、彩奈
そして2つ下の弟、航希-コウキ-
これが俺の家族
そして俺。
神崎悠斗-ユウト-
17歳。高校2年
身長は180。まぁまぁだな
星城学園に通っている
芸能科がある私立だ
そこなら芸能人でも行きやすいし
欠席とか日常茶飯事
一般生徒の中には芸能人目当てとか
たくさんいるけど気にしてない
それから他愛もない話をして
家族五人で朝ごはん
そして8時に家を出る
学校に着くのは30分くらい
「はよ、今日は早いじゃん悠斗」
後ろから声をかけられた
「はよ、彩奈から叩き起された」
「ぶはっ!彩奈サイコーだな!」
と笑うコイツは俺の親友
佐藤魁斗-サトウカイト-
笑うと八重歯が見えて
女子が言うにはカワイイらしい
幼馴染みで昔から一緒だった
芸能界に入ったのもコイツが原因だ
__________
「おい悠斗!俺と芸能界入らないか?!」
「………は?」
アホな話だと思った
そんな簡単に入れるところじゃないと
分かってたから。
でも魁斗に流されてオーディションを
受けたら、意外にあっさり。
俺はモデルとして
魁斗は歌手として
今はそれぞれの道を進んでいる
まぁ俺はモデルより
最近は俳優の仕事のが多いけど。
「にしてもいいなー!」
さっきまで笑っていた魁斗が
真顔で言ってきた
「彩奈に起こされるとか超幸せ!」
「……………」
なぜか複雑なんだが
彩奈と魁斗は
超がつくほどのバカップルだ
「彩奈〜俺の彩奈ぁ〜!」
「あーうぜー!」
「お前は毎日一緒でいいよなー!」
「同じ家なんだから当たり前だろ」
「俺も同居させて?」
「アホかー!」
なーんて、これも毎日のやり取り
馬鹿な言い合いをしばらくしていると
「「「「キャーーー!!!」」」」
はい、これも毎日恒例
「皆おはよ!今日もご苦労さん☆」
「「「「魁斗様ー!!!!!!」」」」
「「「「悠斗様こっち向いてー!!」」」」
「……………」
うざ。
芸能人が珍しくもないこの学園で
何故か一際目立っているやつが3人いる
そのうちの2人は俺と魁斗だ
そして…………
「「「「翔様ー!!!!」」」」
井上翔-イノウエショウ-
俺らと同じ芸能科2年
「皆おはようニコ」
コイツの笑顔は癒されるらしい
井上は癒される
魁斗は元気づけられる
俺は………冷たい王子様
なんて、影では言われてるらしい
まぁ基本女の前では笑わないからな
井上みたいに笑顔を絶やさないことは出来ない
疲れるだろ。
魁斗みたいに声をかけてやることもできない
勝手に集まってるだけだろ?
知らない奴に挨拶されるなんて
俺はゴメンだな
それからギャーギャー喚かれたけど
それを無視して教室に入った