そして、フッと鼻で笑うと、

「じゃあ、またねぇ」

白い手をヒラヒラと振り、カツカツとヒールを鳴らしながら部屋を出て行った。

それを無言で見送った後。

「ハア~」

タカさんが盛大に溜息をついた。

「悪ぃな。鈴木さん、ユカリのこと知らなかったみたいでよ。お前の居場所教えちまった」

「イエ、大丈夫です」

そんな2人の会話を聞きながら、私はユカリさんの去っていった廊下を見つめていた。

……年下の彼って、言ったよね?

それって……ハルヒコくんのこと?

「……ユカリさんって、ハルヒコさんの彼女なんですか?」

前に彼女はいないって、言ってたのに……。

何だか悲しい気分でそう訊ねた。

「違いますよ」

すぐにハルヒコくんは否定した。

「まー、お嬢ちゃんはアイツのことは気にすんな。それより、食べれそうだったらもっと持ってきてやるぞ? いっぱい食べて大きくなれよ~!」

ガハハ、と笑うタカさん。


……でも、タカさん。

私、知ってるよ?

タカさんって、凄く優しい人だから……。そうやって笑って、気を使ってくれているんだってこと。