「適当に持ってきたからな。飲めない分、モリモリ食え!」

ソファから少し離れたところにある、スチール製の事務机の上に大きな皿を乗せながら、タカさんは笑顔を見せた。

「……ハルヒコさん、お酒飲めないんですか?」

「まだ未成年なので」

「あれっ、そうなんですか?」

「ハイ」

「あー、お嬢ちゃんより1コ上か?」

「学年は」

「へえ~、そうだったんですか!」

ハルヒコくんの表情が、いつもの無表情に戻ってる。

良かった、タカさんが来てくれて……。

おまけに年も聞きだすことが出来ちゃった。

ちょっと嬉しくて、顔がニヤける。

それを見ていたユカリさんはスッと腕を組んで、首を傾けた。

「ちょっと、私のこと無視しないでよ」

「ああ、悪い悪い。今日は何の用なんだ?」

タカさんがにこやかに振り返る。

「久々に年下の彼の顔を見に来たのよ。……ま、いいわ。今日は時間もないし、これで帰るわね」

ニッと口角を上げて笑うユカリさんの目は、ハルヒコくんを見た後、私に向いた。