「まさかハル……今度はその子ってわけじゃないでしょうね?」

最初に見た柔らかい微笑みではなく、どこか蔑んだ目で見られている。

……なんだろう。

この、突き刺さるような感じ……。

「……だったらなんですか」

「あら、本気なの?」

眉尻を下げて笑うユカリさんは、チラリと私の方を見て。

「イイオンナには飽きちゃったのかしら?」

「ユカリさん」

ハルヒコくんの声のトーンが下がった。

──えっ? 怒ってるの? なんで?

ハラハラしながら2人を見守っていると、ドスドスと怪獣のような足音が聞こえてきた。

「ハールー、飯持ってきてやったぞ~!」

タカさん!

ナイスタイミング!

ホッと息をつくと、タカさんがひょこっとドアから顔を出した。

「おー? なんだユカリ、来てたのか」

「タカ。相変わらず丸いのね」

「久々に会った第一声がそれか」

タカさんのガハハと豪快に笑う声が、凍りついた空気を暖めてくれるようで、何だか安心した。