真紀side
真紀「そろそろ冬も終わりかぁ」
桜の木が蕾を付けている。
本当はもう高校3年生なんだろうな〜
私がここにきて1年以上は経った
皆一体どうしてるんだろ。
真紀「.......会いたいなぁ」
高杉「どうした。誰に会いたいって?」
真紀「高杉さん!」
今の独り言聞かれてた?!
高杉「ん?言ってみろ暇だから聞いてやるよ」
うーん。相談ってほどじゃないんだけど、
真紀「会いたい人がいるんです」
クラスの友達とか。
高杉「それは聞いた」
もうっそっちから聞いてきたのに。
真紀「でも、今すぐには会えなくて。だから時が経つのをずっと待ってるんです。」
高杉「ここらへんの旬の野菜の八百屋の人か?」
真紀「え?」
あ、そっか。私はまだ記憶が戻ってないフリしなきゃいけないんだよね
真紀「ま、まぁそんなところです!」
高杉さんが少し天然でよかった〜
真紀「そんな高杉さんは悩みとかあるんですか?」
なさそうだけど、あったら聞いてみたい。
高杉「悩みって言うよりも、俺も会いたい人だな」
高杉さんにも会いたい人っているんだ
真紀「誰なんです?」
高杉「俺の師。」
師匠さん?
真紀「会いに行ったらいいじゃないですか」
高杉「それが、どんなに会いたくても会えないんだよなぁ。死なないかぎり」
あっ...
真紀「ごめんなさい」
高杉「なんで謝んだよ。別にもう悲しくなんてなってないんだぜ?あの人にはいろいろ俺の人生変えてもらったからな」
真紀「素敵な方だったんですね」
高杉「へへっいいだろ!」
高杉晋作。
そういえばこの人知ってる。
安政の大獄で師を亡くしたんだよね。
それを機に長州藩に入って奇兵隊リーダーにもなったんだっけ
そうだ!
渡そうと思ってた物があるんだった
真紀「これどうぞ!」
高杉「なんだこれ?」
真紀「私が作りました。犬用の毛布です」
高杉「あぁ、あいつのか。」
もう冬は終わりそうだけどあのままじゃ寒いと思ったから...
使ってくれるかな。
私はチラッと表情を見た。
高杉「.......」
無言っ?!
真紀「ご、ごめんなさい!もう一回作り直します!」
どっかミスっちゃったところあったかなぁ
高杉「あ、いやちがうんだ!」
真紀「?」
高杉「いや、その、」
真紀「どうされました?」
顔を覗き込む
高杉「た、ただ嬉しくて...」
そう言って口を隠す。
真紀「.....っ...!」
高杉さんが優しい....。
高杉「か、勘違いすんなよ?!こんなの俺にくらべればいくつでも買えるんだからな!ただ今回は嬉しくもらってやるって意味だよ!!」
世で言うツンデレですね。
真紀「くすくすっ」
高杉「わ、笑うな!!」