「皆さん新年あけましておめでとうございます。これからも勉学に育みーーー....」

いつも思うんだけど校長先生の話、長いよね。

足が疲れる...

「では代表して生徒の言葉」

あっ!私だ!!

私たちの学校では毎年新年に入ると全生徒の中で成績優秀者が1人演説をする

とんとん

皆の視線が集まる中私はいつも通り緊張して階段を登る

海斗(また真紀だったのか。すげーな)

「桜が舞い散る季節ーー...」

うまく言えてる?



「なぁ、あの子、可愛くねぇーか?」

「俺も思った!」

「可愛くて頭も良いって最高だよな!」

「だな〜俺、付き合いてー!」

海斗「運動音痴だけどな。」

「ん?誰?お前。」

海斗「あいつの幼なじみ」

海斗は他のクラスの男子を話しながら私を指差していた。

一体何を話してるの?

(パチパチパチ)







クラス

「じゃあ最初は出席番号順ね。今日は始業式とクラス替えだけだから好きに帰っていいわよ〜」

やった、もう帰れるんだ

(がやがやがや)

辺りを見回すとクラス替えをして友達作りを励む女の子たちが沢山いる。

私も作っておこうかな...


こうして見るといろんな子がいる。

明るい子。おちゃらけた子。静かな子。

私の学校は生徒数が多いから初めて見る人も当然いる

私は周りを見回した。

「ん?」

一番窓際の席の男の子が私の目に止まった

サラサラとした黒髪で背も高いどこか他の人と違う雰囲気を持っている

ぼーーっ

気付いたら何分も彼を見ていた

頬杖をついてずっと窓の外を見ている。

友達を作ろうなんてことしなさそう。


(サーーー...)

「・・・!!」

桜が舞ったのを背景に、私はその男子をもう一度見返した。


「なに....この気持ち」

どこか懐かしい。
どこかもどかしい。
そんな感情が心に募った


すると彼は私の方に振り返る

やっやばっ

ずっと見てたのがばれる...


すかさず目を逸らした。


でも

私はもう一度その人を見る

よく見るととても綺麗な顔立ち...

「あ、あの!」

気付いたら私はその男の子の前にいた。

いきなり近づいたからビックリさせちゃったかな

「?」

「あ...その本はなに?本が好きなの?」

私は彼の机に置いてあった本を指差し、なんとか話す口実を作った。

「これか?」

コクリと頷く



「新選組の本。」



「新選組?」

新選組って確か京の治安を守るために働いた部隊のことだよね。

歴史が好きなのかな?

そんなことを思っていると突然、彼は口を開いた。

「フッやっと会えたな」

「?」

その男の子は私を見てニヤリと笑う。


.....

なんだろうこれ

胸がドキドキする。

やっぱりさっきから私はおかしい。

ごくりっ

「まさか、自分が何者だったのか思い出せないのか?」

私の顔を覗き込みながら言う

「思い出せないって、元々貴方とはなんの関係もないじゃない」

「そうか...新選組って聞けばわかると思ったが、しょうがねぇな。これ見てみろ。」


そう言って差し出したのは刀だった。

カチャッ

ずっしりと掌にのしかかる。

(ズキズキ)

あっあたまがクラクラする

(ズキズキ)

「えっ....!!!」

持った瞬間、脳裏に次々と映画のようにながされていく場面。

この人達はだれ?

桜の前を2人の男女が見つめ合っていた

『桜...綺麗ですね』

血だらけの男性を膝の上に女性は言う

『何度...生まれ変わっても..ハァ..一緒に...見よう』

男性は最後の力を振り絞り女性の頬をゆっくりと撫でた。

(パタッ)

その手は次第に地面に着地する

『土方さん...?土方さんっ!』

泣きながら男性を抱きしめる


土方さん?

とうとう男性は眠るように目を閉じてしまったようだ




「...土方さん」

はっ!

私は我に帰った。

「気付いたようだな」

まるで時代劇のよう

この人は確信的でも私の頭の中はぐじゃくじゃだった。

(ズキズキ)

まだ頭が痛いや...


(ズキズキ)

行かなきゃ

(ズキズキ)

でもどこに?






「幕末にーーー...」