真紀「助かった」
私は日差しの良い壬生寺の階段で休むことにした。
子供たちが遊んでいる。
真紀「平和だな」
幕末って常にもっと斬ったり斬られたりの時代かと思ってた。
まぁここの場所だけだと思うけどね。
平助「おーい!春!じゃなくて、真紀ー!」
真紀「平助くん!どうされました?」
平助くん、確か稽古中じゃなかったっけ?
平助「今から買い物行かない?」
真紀「買い物ですか?」
平助「ああ!買い物!」
どこに買い物に行くんだろ?
私は無言のまま連れてかれた。
その場所は、
真紀「呉服屋?」
呉服と言っても袴ばかり。
真紀「あの..私、着物持ってますし..」
平助「確かに着物はあるけど袴はないだろ?」
そう言うと平助くんは私に似合う袴を探してくれる。
平助「これから必要になるかもしれないしさ!」
必要になるの?
真紀「私、お金持ってませんよ?」
平助くんだって給金出てないって噂だし
平助「そこは大丈夫!これも全部、土方さんの命令だから」
真紀「土方さんの?」
平助「うん。この前の真紀、すごく怯えてただろ?だから気を利かせてくれてるんだと思うよ」
なんか土方さんすいません。
平助「あと!敬語じゃなくてもいいから!歳も近そうだしな!」
結局買ったのは桜色の綺麗な袴。
平助「じゃあ、帰ろうか!」
真紀「うん!」
屯所に向かって歩き始めた。
しばらくすると
「なんだと?」
「そっちが悪いんじゃないか!」
ケンカ発見。
平助「真紀!先に帰ってて!」
真紀「へっ?」
平助「一体どうしたっていうんだ!まぁまぁまぁ俺が話を聞いてやるから!」
「なんだお前は?」
平助「俺は新選組の藤堂平助!」
あ、そっか!
えーっと、魁先生だっけ?
ケンカを見つけたらすぐに飛び込むって新選組では有名だよね。
じゃあ私は先に帰ってようかな。
「一本っ!!」
壬生寺から聞こえてくるのは稽古試合だった。
どれどれ。
今日は誰がやっているんだろう?
覗き込んでみた。
「永倉さんと...あれって?」
見たことない人。
「一本!」
また取った!
すごく強い。
でも、あの人ってみんなと違う...
なんだろう...どこが...
左構えだ!
「一本!!」
永倉「すげぇーな!斎藤は!」
斎藤「新八も腕を上げたな」
斎藤って言う人かぁ。
斎藤「それよりも、新しい隊士が来たと聞いたが、どこにいるんだ」
永倉「海斗のことか!隊士じゃないけどな!」
海斗「新八さーん!近藤さんが呼んでたぞー!」
ナイスタイミングすぎる。
永倉「お!いいところに来た!海斗!斎藤と稽古試合してみたらどうだ!」
海斗「斎藤さんと?」
海斗はもう斎藤さんと会ってたみたい
斎藤「ある程度は強いのか?」
斎藤さんは棒刀を海斗の目の前に突きつけた。
海斗は剣道得意なんだから!
海斗「まぁ、少しくらいなら・・・」
永倉「はじめ!」
こうして稽古試合は始まった。
永倉さん、近藤さんに呼ばれてるのにいいの...?
斎藤はすかさず海斗の後ろに回り込む
そして海斗も回り込む。
まだどっちも打ち始めてはいない。
斎藤「では、俺からいかせてもらう!」
すばやく平行に打ち込んでくる。
海斗「くっ...」
だけど海斗も負けず劣らず避ける。
斎藤「けっこうやりがいがありそうだな」
海斗「こっちだって!これでとどめだ!とりゃっ!!」
いけ!
「一本!!」
やったぁ!!
さっすが海斗!
斎藤「どこの道場で習っていた」
海斗「いや、俺は道場とかには通ってないんだ。部活とかで習った。」
斎藤「部活....」
斎藤さんは通じてないようだった。
近藤「永倉くん。まだか?」
永倉「やばっ!忘れてた!」
近藤「それと、真紀くんたちも一緒に集まってくれ!緊急会議をする!」
真紀「緊急会議?」
私は近藤さんの後をつけた。
永倉「真紀ちゃん、こんなとこにいたのか!」
そういえば私、こっそり見てたんだった
斎藤「とにかく行こう」
土方「みんなに集まってもらったのは他でもない。芹沢さんのことだ」
永倉「まじかよ」
土方「上からも対処をとの命が下った」
みんな重い顔をしている。
真紀「あの、芹沢さんをどうするんですか?」
私は近くにいる原田さんに聞いてみた。
原田「殺すってことだよ」
真紀「え?!なんでまたいきなり」
平助「前から芹沢さんの横暴はすごくて目には付いてたからな」
沖田「舞妓に怒鳴るとか宿に火をつけるとかお金を取るとか。」
原田「不逞浪士と変わらないよな」
そんな...
(梅さんは一生、芹沢さんについていきますか?)
(もちろんよ!)
あの時の梅さんが脳裏に浮かぶ。
真紀「はっ...!」
平助「どうした?」
真紀「あっううん...」
この出来事は後に「芹沢暗殺」と記されることになる....