「千秋くん、これありがとう」


由季ちゃんがそう言って千秋に手渡したのは


映画のDVDだった


2人で貸し借りしてるんだ


由季ちゃんはそれから千秋と弘樹の映画の話に加わった


3人とも意気投合するのか、さっきよりも楽しそうに話す


私もあの中に加わりたいな…


でも今の私には到底無理


そう分かりきっていることだから


私は3人の横を静かに通り過ぎた


由季ちゃんが私の名前を言っていた気がする


でも聞こえないふりをした


どうせ私の心配だろう


「亮ちゃん行っちゃったけど大丈夫?」


「あー、大丈夫だろ。」


きっとこんな会話


千秋はきっと由季ちゃんと好きなことを話したいだろう


私なんかを会話の主題にしても


千秋も由季ちゃんも ついでに弘樹も


何も楽しくないに違いないしね、