「市端さん……」
「助けてやる。今鬼が城から出て森に来てる。だから、森から中庭に行くぞ。」
鬼という単語に体が過剰反応した。
それに気づいた結木さんは手を握ってく
れた。
「翔也てめぇ、怪我しやがって。俺に掴まれ。」
「慶……すまない。」
何故か呼び捨てにして仲よさげな2人は
何で他人行儀なんかしたのかな……。
「お前……璃華瑠……。」
不覚にもドキッとした。
「はい…。」
「さっきは強い口調で言って悪かった。つーか、お前さぁ……」
耳元で囁かれた。
「翔也と侠って奴どっちが好きなんだ?」
………。
「い、今そんな話してる場合じゃないです。」
顔は真っ赤だろう。だって……。
「俺は仲間外れかよ…。慶、璃華瑠ちゃんに近づき過ぎんだよ。お前、花がいるだろ。」
「まぁな。」
なんて人だこんな時にそんな事言うなん
て……。
もしかして、場を和ませてくれる為かな…。