《青鬼が解放されました。》
アナウンスが入った。
「怖いよ……」
「安心しろって。絶対見つからないとこに隠れよう。」
青鬼が解放されて10分が経った。
「ここに隠て。」
そこは人が入りそうな旅行用キャリーバ
ッグが置かれていた。
「俺が璃華が入った後、机の下に隠すから。出るときも一応中から開けられるみたいだし。」
「侠は?侠の隠れる場所が無いよ…」
「俺?俺じゃあ、こんな小ちゃいバック入んないし。俺はあっちの部屋のクローゼットにいるから。」
「ここは廊下だし、見つかりっこないよ俺を信じて。」
まっすぐな目で私を見る。
「うん。」
「隠れてる時に絶対、声を出すなよ。息も殺せ。後、ピンチな時は助けてって言ったら助けに行くから。隠れる場所も移動してな。俺に遠慮とかいらないからな。だから。生きろよ。」
侠……。
「じゃあな璃華。」
侠はそっとバックを閉じて、廊下の曲が
り角の壁に花瓶が立ててある机の下のポ
ッカリ空いた間の隙間に私を隠した。
海達……大丈夫かなぁ…。
『ペタペタ』
階段を上がる音が聞こえた。
その音は次第に近づいてくる。