たまに駅まで一緒に帰って、その時に少し寄り道したくらいで。
うわぁ、どんだけ嫌な奴だったんだよ、俺。
「バカ雅紀ー」
そして、白石はポロポロと涙をこぼしだした。俺は慌てて、ポケットに珍しく入っていたハンカチで白石の涙を拭く。
「まっ、まさきっ……ひっく」
「ん?」
「あんまり期待はしてないけど聞くね?今日、何の日か知ってる?」
今日?
「その顔は覚えてないっか」
目と鼻を赤くして苦笑する白石。
「何の日だっけ?」
「さぁ。みんなに教えてもらえば?みんなー!せーのっ!」
「「「1年記念日おめでとう!」」」
白石がいきなり掛け声をかけたかと思うと、途端に校舎や近くの木からクラスの奴らが顔を出した。
「……え?」
ビビったけど、俺は呆然としてしまった。
「雅紀~、お前彼女との記念日を忘れるとかそりゃないぜ~!」
茶々を入れてくる中園。
「城山くんみたいなのが彼氏だったら、あたしぶっ飛ばしてる!よく耐えたねー」
なんて言いながら白石の元へ近づく女子。