「ねぇ、雅紀」
再び横になった白石が空を見ながら、俺の名前を呼んだ。
「あたし、告白された」
「へ?」
突然のことで声が裏返ってしまった、俺。
「他校の人でいつも電車で会う人なんだ」
白石は電車通で俺はチャリ通だから、登下校はバラバラなことがほとんど。たまに白石を駅まで送ることはあったけど、こんな話は初めて聞いた。
「……断ったの?」
「ううん、保留にしてる」
は?保留?
「なんで?」
「すごく一生懸命に告白してくれたから、すぐに断るのも申し訳なくて、断るタイミング逃しちゃった」
なんだろう、俺。すっげームカムカしてんだけど。
「それに、雅紀の気持ちも聞いてみようって思って」
「……俺?」
「うん」
左側にいる白石を見ると、同じタイミングで白石も俺を見た。
「あたし、どうすればいいかな?」
「どうすればいいも何も、お前今俺と……」
「うん。雅紀と付き合ってるんだもん。断るのが普通だよね」