「いつも思うんだけど、お前のクオリティー低くね?」
「ちょっと、それ言わないでよっ。あっ、ちなみにコレあたしなんだー!」
そう言って指さしたのは俺の右側に描かれていた蜂。蜂からはハートがたくさんぶっ飛んでいて、そのハートは……俺に向けられていた。
「どう?可愛いでしょ?こんな可愛い蜂に刺されちゃ、雅紀はイチコロだねっ」
俺を見て意地悪そうに笑った白石。
あれ?
いつからだっけ?
白石の笑顔が眩しく見えるようになったのは。
いつだっけ?
─────俺が白石に好きと伝えたのは。
前者は覚えていない。でも、後者は……まだ伝えていない気がする。
「雅紀?どうしたの、ボーっとして」
「あっ、うん」
「あたしが蜂になった時のことを想像して怖くなったー?」
「なるかよ、アホ」
「アホじゃありませんっ」
そう言いながらスケッチブックを閉じる白石。