曖昧なこと言ったよな。なんて言ってから後悔したけど、そんな俺に白石は言ったんだ。
『う、うんっ!それって、付き合ってくれるの!?そうだよね?うっそ!やった~!』
両手を上げてガッツポーズを取って、嬉しそうに目を細めて大きく口を開ける。
その時に初めて、白石に対してドキッとした。
あまりにも自然体過ぎるだろ。それに好きってわけじゃないのにオッケーしたんだよ、俺。そんなに喜ぶ?
『ありがとう!改めてよろしくねっ』
呆然としていた俺の両手を取り、白石は再び笑顔をこぼしていた。
あの日から今日まで、白石と別れることなく過ごしている。正直、自分でも驚いている。
ていうか、白石と一緒にいることが当たり前になってんだと思う。それも窮屈じゃなくて、安心出来る存在として。
俺はスケッチブックを閉じて鉛筆と共にベンチへ置き、制服の上着を脱ぎながら白石の隣へ向かう。
「ほら、足掛けとけ」
ぶっきらぼうに白石に渡す。やっぱりスカートで大の字に寝られると、こっちとしても気が気じゃない。