「ま~でもあれだよな。白石と雅紀が付き合うのは想定内だったっていうか、納得だったな~」
それ、付き合い始めた頃も言われてた気がする。お前らお似合いだ、って。
「お前もまんざらじゃなかったんだろ?な?」
「……じゃなきゃオッケーしてないよ」
「ったく、素直に言えよ~」
ニタニタしてる中園。あーコイツのこういう顔嫌だ。たくらんでるっていうか、裏がありそうっていうか。
そんなことを考えていると、どこからか声が聞こえてきた。
「まっさきー!」
その声を聞いた途端、鉛筆を動かす手が止まる。
「おっ。噂の彼女ちゃんのご登場~」
あぁ、そうみたいだな。スケッチブックを左手で抱えて、右手で大きく手を振りながら走ってくるのは……俺の彼女である白石だ。
「来るの遅くなっちゃってごめんね!」
「はい?」
「さっき安藤くんが雅紀が待ってるってLINEしてくれたんだけど、ちょうど佐々木先生につかまってて。絵を書き上げてから来ちゃった!」
おいおい、安藤のやつ、俺そんなこと言ってねーぞ、コラ。