古びた回転イスでググッと音がするほど背筋を伸ばすと、世界がさかさまに見える
その瞬間、どたーんという音と同時に世界が一回転。
山積みの教科書たちは音を立てて崩れた
「っ…つぅ……痛ぃ……」
腰を思い切り打ったせいか起き上がるのにも一苦労。まわった頭と目がもとの位置にもどるまで15秒。立ち上がってカーテンを開けるまで45秒。
それから、目前の明るさに目を閉じて、それでも窓の向こうを見ようと目を開けてるまで、あと50秒。
カーテンの向こうの窓に、
窓に、
べったりと顔をくっつけてこちらを見ている君と目が合うまで、あと、
「ゼ、ロ秒。。。っうわぁ!!!」
手で腰を押さえながら後ずさりして勢い良く尻餅をつくと、
茜色に染った茶色い髪が窓の向こうで気だるげにそよぎ、大きな瞳はぱちぱちとこちらを眺めて驚いたようにまばたきをした
そのあと、
それは、もう、待ってましたとばかりに口角をにっと上げて、
「先輩、待ってました」