「純ちゃん‼︎」
そう大きな声で私の名を呼ぶ先輩の声が響いた…



転んだのは大して痛くはなかった
…けど…
なぜだか涙が出てきた



このやり場のない感情をどうしたらいいのか
どうしたいのかさえもわからずにただ、苛立ちを覚えていった




「純ちゃん?
大丈夫?どっか打った?
痛い?」



泣く私の頭を撫でながら何度も聞いてくる



その手を叩いて払いのけた



『パチィーン』
音が響いて先輩は驚いたように固まっていた



私はもう、止まらなかった
「……どうして?どうして私が生き残っちゃたの?
私なんか生きてても跡継げないし、兄さまも父さまも母さまも皆んないない世界じゃ心細くて寂しいよ?
お祖母様は怖いし、このお屋敷は広くて人が少ない…
心から信じていい人も分からない
ずっと我慢しててもいつも考えるの。
私なんか死んじゃえば良かったのに…
いなくても誰も困らないのに…
命捨ててまで助けられるほどの人間じゃないのに…
フツーの家に生まれてフツーに暮らしたかっただけなのに…」



そこまで言うと出なかったはずの涙はいっぱい出て来て、先輩はそんな私を戸惑いながら自分の胸に押し付けた