あまり成績が芳しくない私だけど、晴哉母の作るお菓子を報酬に、三ヶ月ほど前から教鞭をとることになった。


うん、あまり大人気ない姿を見せるものじゃないね。



「勉強は後にしてよ。彩さんの話が気になって、集中できないから。彼氏のこと、もっと聞きたいなぁー」


「……」



ニヤニヤと意地悪く笑うこのガキんちょは、なかなか大人びた一面がある。


特に、人の色恋についての話が大好物らしく、こうして勉強を教えに来るたびにあれこれと彼氏とのことを聞かれるのだ。


それでバカ正直に彼氏が浮気してる、なんて答えてしまった三ヶ月前の私も本当にバカだけど。


晴哉は年下とは思えない聞き上手だから、つい、愚痴を言いたくなってしまうんだよね。



「聞いたっていいことないよ。ハルの教育に悪いだけだし」


「もう。彩さん、俺を子供扱いし過ぎだよ。彩さんとはたった一つ違いなだけだよ?」


「一つでも大きな違いでしょー。特に、今のあんたは子供料金の中学生で、私は大人扱いの高校生。それに、私がもうすぐ誕生日を迎えるから、あんたとは二歳差になるしね」


「でも、俺たちが結婚しても、誰も年の差だなんて騒がないよ?」


「……あんたのその発想に驚きだわ」