小鳥が囀(さえず)る、うららかな小春日和。
にも関わらず朝から彼氏の浮気現場を目撃してしまった私は、気分が急直下です。
「りゅーうーせーいー」
怒りを最大限込めて彼氏の名を呼ぶと、引っ付いていた二人は、ハッと離れる。
いや、離れたのは女の方だけで、流生はこちらを振り向くだけだった。
「あ、え、ご、ごめんなさい……っ!」
女が狼狽しながら謝ってくる。
が、謝るくらいなら始めからんなこと頼むなよって話なわけで。
私の眉間にシワが寄る。
「なんで謝るわけ?悪いことをしたと思ってるなら、始めからしなきゃいーじゃん。私に目撃されるとは思ってもみなかったとか、馬鹿なこと言わないでよ。人の彼氏だと分かって手を出すのって、最低だよね。告白してフラれて、最後の思い出にキスを強請る。あんた相当図々しい女だよ。しかも開口一番に謝ることで、あたかも清廉潔白ですよアピール。この期に及んで、ウザい。マジウザい」
「な……っ」
女は何か反論しようとするが、流生の手前だからか、ぎゅっと口を噤んだ。
密かに私を睨み、去ってゆく。
はぁ、と溜息しかでない。