それなのに……。
「今じゃすっかり軽口叩いてくるようになってね。初めは使っていた敬語もどっか消えたし」
で、やたらと私の彼氏のことを根掘り葉掘り聞いてくる。
つられて喋ってしまう私も私だけど、よくよく考えれば、中学生相手に恋愛相談……愚痴をネチネチ言うのってよくないよね。
でも、さすがに今朝のあの笑い顔はムカっときた。
「いーじゃないの。それだけ親しくなったってことでしょ?」
「うーん。そう言えば、そうだけど……」
考え方がマセてる。
とは、思う。
「あたしがあんたに気にしてほしいのは、それよりもあっちのことだけどね」
友達――梨花子が視線を向けた先にいたのは、楽しそうにおしゃべりする女子生徒。
と、私の彼氏だった。
二人は至近距離で話をしていて、おまけに女子生徒の方は流生の腕に手を絡ませ、胸を押しつけている。
流生は鈍感を演じているのか、本当に気づいてないのか、女子生徒のボディタッチを特に気に留めている様子はなく。
……こんな光景には、もう慣れてしまった。