季節は冬。クリスマスを一週間前に控えているあたしたち女子高生は、いつにもましてテンションが高い。

小3の妹にサンタさんはきても、高2のあたしにはサンタさんはこない。

‘恋人はサンタクロース’だなんて皮肉なもんよ。
あー、あたしにもサンタさんか彼氏、迎えにきてくれないかな〜。
てかサンタさん、あたしにとびっきりかっこいい彼氏をくださーい!!

「よーうちゃーん?」
はっ!あたしの顔を美人が覗く。
「おぉ、美穂」
彼女は、山田美穂。美人で、性格が超女子!こいつから悪口なんぞ聞いた事がない。すごーく癒される、大事な親友。
「あたし、祐介待ってるから、もう帰るよ〜?じゃあね」
えっ....?
あたしはひとり教室に残された。
美穂はサッカー部の佐倉祐介とゆつ超絶かっこいい彼氏がいる。
祐介め...美穂を奪いやがって。
美穂め...あたしをひとりにしやがって。

ひとりもんのあたしは悲しく教科書をカバンの中にしまった。

「放課後に教室でひとりは、さすがのあたしにもなにかくるね、うん」
首をかしげながらゆった。

親友の美穂にもおいていかれ、迎えにきてくれる彼氏もいない、華のJKだなんていえるだろうか、と不安になっているあたし、白石陽。さっき美穂にも呼ばれたけど、「よう」ではありません。
先生たちにも「よう」っていわれるんだけどさー、
あたしの名前、「はる」だし。
中学校でイオンについて習ったくらいから、あたしのあだなはようになった。
高校になってまでようって、どうよ。

まあ別にいいけどさー。
部活もしてないし彼氏もいないし頭も良くない。ごくごく普通(いや、むしろマイナス!?)な、高校2年生です。

「さてとー、今日は妙にさみしいから、いきますかあ...」
あたしが大好きなところに。