「好きなんだ…由季…」


恭くんが微かな声でそう言った。


「……!!」



い、や……やめて…やめてやめてやめて!



「っ…私にはか、れしが――っ!!」


私が言葉を言いかけた途端…



―――――ギュッ…



懐かしい香りに包まれる。
けれどそれはあの人の香りじゃなくて…。



「は、なして……離して!」


私は恭くんの胸板を思いっきり押した。