「帰れ」
「あ?」
「つーか、行けよ。その人のとこにさ。で、スキだつって来い」


やっぱ、昔からのダチっていいよな。


こういうことも、ハッキリ言ってくれるし。


「悪りィ。また、連絡するわ」
「あぁ。振られたら、慰めてやるよ」
「……あぁ」


来たばかりのドアを開け、外に出る。


オレが片手を上げると、眞介も軽く手を上げ、オレは急いで陽美の家へと向かった。


電車に乗り、千の里で降りる。いつも(と、言っても数回だけど)陽美に合わせて歩いてたから、自分一人で歩くと、陽美の家はすぐに見えてきた。


電気はついてるから、家にいるらしい。


〝よし〟と、心の中で自分に気合を入れ、一歩アパートに近付いた時、オレより先に階段を、上がるオトコがいた。


最初は、住人だと思ってたのに、向かった先は陽美の家だった。