「んで?」

茜ちゃんがイキナリそんな事を言ってきたから、何も考えていなかった俺は変な声を出して返事をしてしまう。


「だからぁ~、何かあったのって聞いてんの」

最後の一口を食べながら、茜ちゃんはそう言った。
な、んで…。
俺は思わず動揺してしまう。



「ごめん、何となくそう思っただけだから気にしないで。ただ、ここの屋上の鍵は職員室に隠されてるはずだし誰も入れるって知らないはずだからさ」

そうか。ここに入れるのは茜ちゃんと咲也だけなのかな。
だから、鍵を持っていて、ここに入れた俺は何かあって此処にいるのではないかと思ったわけか。


「ははっ、茜ちゃんには敵わないなぁ」

ホント…適わないや。


「まぁ、何かあったといえばあったし、なかったと言えばなかったよ」

「どっちだよ」

「んー、まぁどっちにでも捉えれるんだ僕的には」

そう、どっちにもね。
あんなの俺が気にしなければいいだけの話であって、どっちにも捉えられるんだ。
それでも茜ちゃんは分からないって顔をしていた。それでいいよ、君は。


屋上の鍵は前川先生が泣きながら貸してくれたと伝えると、茜ちゃんはビックリした顔をして、少し引いていたようにも思えた。