あたしは兄を探しています。

「何さ、リュウ君」

と、茜ちゃんが俺を見て言った。
ヤバイ。気にしてたのバレたかな…。

「えっ何が？」と、俺は知らないふりをしてみる。



でも茜ちゃんは…


「さっきからずっとこっち見てるじゃん。あげないよ？あたしのお弁当あげないからね？」

なんて、言ってくる。
全く違うんだけど…と思いながらも、やっぱり茜ちゃんは良いなっと思ってしまう俺がいたりする。

あー、久々にめっちゃ笑っちゃったよ。


「まぁ、茜ちゃんのお弁当はいつも美味しそうだから狙ってはいたけどね」と、俺は笑い、でもそういう事ではなくて…。

言おうとしたけど、止めた。
茜ちゃんは不思議そうに首を傾げていたけど、気にしない。これは俺の問題だもんな。

「まぁー、いいや。僕もお弁当たーべよっ」

枕替わりにしていた鞄から、お弁当を取り出す。
取り出した所で、茜ちゃんが俺のお弁当をジーと見ている事に気付く。

きっと食べたいのだろうな。
茜ちゃんが食べたいのなら、俺は分けてあげるよ。

好きなのどうぞって、あげると、茜ちゃんは目をキラキラさせながら、美味しそうに食べていた。