【華瑠 side】



やっと帰れる!!



早く新作のONEチョコGETしなきゃ!!




そう意気込んでいたら私のクラスの担任、日向諒(ひなた りょう)こと、リョウちゃんが号令をかけた。




「これで終わるぞ〜。
明日から授業があるから、遅刻すんなよ!じゃあ、解散!!」




終わった!!




亜琴ちゃんに声を掛けて早く店に!




「亜琴ちゃん!私、もう行くね!
また明日ね!!」




「わかったわ。気をつけてね?
知らない人から声を掛けられても無視するのよ!」





「うん!じゃあバイバイ!」





いざチョコのもとへ!





そう思って、廊下を走った。



……が、ドンッッ!!



下駄箱の手前の曲がり角で誰かとぶつかった。




「きゃっ!」





うぅー。しっ、尻餅ついちゃった……。




「イタタタ……あっ!
ごっ、ごめんなさい!!」




急いで起き上がって頭を下げる。




……あれ?何も返事がない?




恐る恐る顔を上げると……




わぁ…。
凄く綺麗な男の人…。



少し色素の薄い茶色に近い髪に、切れ長の目、鼻筋も通ってて薄くて形の良い唇…。
左の目元のホクロがまた凄く妖艶っぽい雰囲気を出している。



こんなに綺麗な人初めて見た……。



ポーッとしてると、



「ねぇ、僕に何かついてる?」




…はっ!そうだ!
ぼーっとしてる場合じゃない!!




「あ、ぶつかってしまってごめんなさい!!
こっ、これお詫びです!」




そう言って私は、男の人に持ってた私の好きなONEチョコを渡す。




「じゃ、私急いでるので!本当にぶつかってしまってすみませんでした!!」




急がないと新作チョコが売り切れちゃうかも!!




そう思ってまた、全速力で急いだ。




「蒼桜〜、大丈夫か?
あの子、お前の隣の子だよな?
てか、そのチョコ、お前んとこのじゃね?
なんか可愛いけど不思議なこだなぁ。
俺ら見ても騒がねぇ子って初めてじゃね?」




「黙れ、ナルシ。」





「ちょっ!酷くね!?」




「…クスッ。あの子面白いね。」





「珍しいな。蒼桜が女の子に興味持つなんて。」




「まぁね。」









私が立ち去ってからこんな会話をしていたなんて、知る由もなかった………。