飛行装置を背負って班長と一緒に事務室の前で待っていると、オレの通信を受けたリズが走ってやってきた。
今回オレは班長のそばを離れるわけにはいかないので、飛行装置も必要ないだろうしリズが一緒に行く必要もないような気がする。
そもそも班長を狙った犯人がいるところへ班長が行くこと自体必要ない気がするが、そういうわけにもいかないんだろうな。
現場主義の班長にしてみれば、自分を狙っている犯人だからこそ、自分が現場で直接指揮を執りたいんだろう。
犯人の所在が掴めるまでは車から出ないことで、二課長も了承した。犯人ロボットがパワーアップしてないことを祈りたい。強化ボディの車を貫通するようだったらオレもやばいかもしれないし。
奇妙な取り合わせの三人で車に乗り合わせて現場に向かう。班長が行き先を入力しているのを見ながら、そういえば現場がどこだか詳しく聞いてないことに気づいた。
「現場はどこですか?」
オレが尋ねると、班長は不愉快に怪訝な表情を上乗せしてオレを見る。
「なんでそんなことを聞く? 事件の詳細は配信されるだろう」
「私には配信されません。班長の指示に従うことだけ命令されています」
いつもは一緒に行動しているシャスに聞いていた。オレは備品だからそういうもんだと思ってたんだが。