「いえ、時間だけじゃないし…自我とか思いの強さで言ったら、春日さんの方が上を行ってますから…」

「ありがとう!」

「いえ…」

冬馬と春日はお互いの顔を見ずに、パーテーション越しに会話を交わした。

「…何か面白いな、美術部って…」

椿が二人のやり取りを見て、感心すると呟いた。

「だろ?入っちゃえ、入っちゃえ、椿」

「いや、先生、やめとくよ…外から見ている方が面白いし…」

「あぁ…それに気づいちゃったか…」

榎本はがっかりすると、準備室に戻って行った。

「…何ですすめる訳?榎本のヤツ…」

訳が分からず、椿は冬馬にたずねた。

「さぁ…変人仲間に引き入れたかったんじゃないですか?」

「え?」

「だって椿君、健全を絵に描いたような人だから…」

「ええ?!そうか?」

「ははは…」

「え?マジで?」

「さぁ…」



結局の所…絵を上手く描くコツも、自分についても良く分からない椿であった…


(おわり)