幸樹さんはきちんと父との約束を守ってくれたようで、
あの呼びだし騒動から１０日後、素敵な料亭で顔合わせが行われた。


両方の親と私たち。
テーブルをはさんで向かい合わせで座る私たちは何だか本当にお見合いをしたみたいだ。

「このたびは…まさか見合いの前に二人が付き合っているとは思いませんでしたね」

「ほんと、そうですね。
　でも、高梨さん、幸樹はどうやらお嬢さんに夢中のようだ。
　この前も私に仕事を頼むと言ってきまして。
　うちの息子からの頼みごとなんて今までなかったですから、逆に嬉しくなりましたよ。
　聞いたところによると、高梨さんのお宅に伺ったようで。
　まさか挨拶もしていなかったとは、本当に申し訳ない」

「いえっ。そんな、こちらのほうがびっくりしてしまいまして。」

「幸樹、お前はどう考えているんだ？」

「美咲さんとは一生をともにしたいと考えています」

「美咲さんはどうなのかね？」

『私も…幸樹さんと共に人生を歩んでいきたいと思っています』

「そうか、そうか…なら、話しは早い。
　二人ともその気持ちなら、結婚は早いほうがよいだろう。
　幸樹もこんなにいい顔をしている。
　高梨さん、今後ともよろしくお願いします」

「いえ、こちらこそ」