「ただいまー」


お父さんはもうアメリカに帰ったし、お母さんもいないと思っていたが、私を一番に迎えたのは他でもないお母さんだった。


「咲、ちょっと話があるんだけどいい?」

「…何?」

「もう、晴也君のことはいいんでしょ?」


一瞬答えに詰まるが、うん。と返すとお母さんは少し寂しそうに口を開いた。


「大和グループの会長さんと仲良かったでしょ?」


大和グループって言えば、あの暴走族の総長がいるところか


「まぁ、気に入られてるなぁ…とは思ってた」

「晴也君との婚約がなくなったから、ウチの息子と婚約しないかって言われて」





「何番目?」


まさか、ね?


「三男らしいんだけど…」


ご本人様じゃないですかーーー


「でもなんで?長男も相手いなかったよね?」

「どうしても三男がいいって言ってて、でもそれも失礼だから婚約を承諾してもらえたら三男に後を継がせるって言ってたわ」


え、あいつが社長?

無理無理。

私は思わずにやけたが、どうしてそこまで三男と私を結婚させたがるんだ?


「なんでも、一般の子と付き合ってるらしくて目を覚まさせたいらしいわ」


それって、礼奈じゃない?

かなり反対されてるんだ…