教室に入り、扉を閉めると何かが身体に覆いかぶさった。


「晴也」

「婚約破棄ってどういうことだよ」

「言ったでしょ?近づかないでって、あれはこれからもずっとだから」


今気付いたけど私。壁ドンされてるのか。

流行りのあれか。


「絶対になんとかするから、婚約破棄は「なんとかって何?芹那は自分が咲だと思ってるんだよ?」

「…それは」

「誰のせい?私と、晴也のせいだよ。死ぬかもしれなかったんだよ」

「…でも俺は、咲が好きなんだよ」


真剣な顔でそう言う晴也に、涙が出そうになるが、必死に堪えて晴也を突き飛ばす。

私だって好きだよ。大好きだよ。

でも…無理なんだよ。


「晴也」


「さよなら」