「いえ、あの…城ヶ崎 咲は私なんですが…」

「え?でも本人が…」


なんで、そんなことを…


「頭を打った衝撃で意識が混乱したんですかね」


冷静にそう返す晴也だが、まだ理解できない。

じゃあ…私は誰?


「とりあえず、中に入れてもらってもいいですか?」

「え、えぇ…」


執事に続いて、晴也、私と入っていく。


「はる、や…」


全体的に包帯に巻かれて、かろうじて顔が見える芹那が腕を広げて晴也を呼ぶ。


「咲」


晴也が芹那を呼んでみると、芹那は何の躊躇いもなく「何?」と聞き返した。


「…嘘でしょ」


思わず呟いた私に、芹那は顔を豹変させて枕を手に取り、私に投げつけた。