「ほら、席につけー」

「誰あれ」
「不審者!?」


暁先生の言うことを聞いて生徒たちが席につく。
それでも空いている席が多く見受けられるのは、不良校ならではってところか。


「マスク外しなさいよ」

「なんで」


気の強そうな少女に命令されたが、聞くわけもない。


「そんなに顔に自信がないわけ?」


少女がバカにしたように笑うと、クラス中が爆笑に包まれた。

そんなに面白かったか?


「人の顔を馬鹿にできるほど、このクラスの顔面偏差値は高いとは思えないけど」

「あ?」


少女が机を叩いて立ち上がった。

彼女以外も不満そうに机を蹴ったり、文房具を投げてくる。


「やめろ」


私の前に暁先生が立つと、生徒は静かになった。


「そいつが顔さえ見せれば問題ないんだけどー」

「じゃあ、柏木(かしわぎ)もメイク落とせ。そうしたら城ヶ崎のサングラスとマスクを外す許可をやる」


おいおい、何勝手なこと言ってんだよ。


「城ヶ崎が顔を隠してるのが不満なら柏木がメイクしてるのだって、充分顔を隠していることに入るだろう?平等じゃないよな?」


そう言われて、柏木は不満そうに席についた。