そうして見上げた校舎の屋上に一つの影が見える。


「あれってさ…もしかしなくても……」




「芹那、だよね?」


私達は良くないことが起こっていることを悟り走り出す。

人を掻き分けて着いた学校。

教師達の制止を振り切って屋上前の扉に着いた。

そこには校長もいて、黙って道を開けてくれた。


って、ちょっと待てよ?


「晴也、これって私行かないほうがいいんじゃない?」

「いや、ちゃんとついてきて」

「いやいや、火に油を注ぐ感じになるじゃん?」

「飛び降りようとしてるけど、まだ飛び降りてないってことは誰かに何かを伝えたいってことでしょ?あれは多分俺への告白っていうより咲への文句だと思う」


あー、なるほど…

え?もしかして?私のせいで死のうとしてる?


「晴也なだめてきて!」

「一緒に行くけど、話すのは咲!俺関係で人が死んだってことがあっちの高校に伝わったら強制的に戻されるから、早く!」


自己中か!

ってツッコミは置いといて。

私は仕方なく扉を開けた。


「やっと来たわね…」


フェンスの向こう側で不敵に笑う芹那は、さながらRPGのラスボスだが、目がいっちゃってる。


「とりあえず、落ち着きなって」

「確かに私は…晴也君のことをよく知らない。でも、本当に好きなの!晴也君のためなら命だってかけられる!あなたは…かけられないでしょ?どうせ晴也君がいなくなったって次があるんでしょ?」

「かけられるけど?」


おっと、待て自分。相手を挑発するんじゃない。


「君の望みを聞こう。なんだね?おじさんに話してごらん?」

「ふざけないで!」


ですよねー…


「私と晴也君の邪魔をしないで…晴也君を自由にしてあげて!!」

「邪魔なんて…」

「晴也君が私と付き合ってくれなきゃ、私はここから飛び降りる。」


おいおい、話がぶっ飛んでるな…