「咲」

「何?」


晴也が、休み時間に後ろから抱きついてきて、小声で言った。


「ウチの実家から強制帰宅が命じられた」

「…え?どうして?」

「なんか、急ぎらしいから、帰る」

「私も…「多分仕事のことだから、巻き込みたくない。それより危ないことしないって約束して?」


晴也の真剣な声に、黙って頷く。


「晴也も、無茶しないでね。なんかあったらすぐ呼んで」

「分かった」


晴也はスッと私から離れると、鞄を持って帰ってしまった。