「咲」

「晴也」

「「ごめん!!」」


朝一番に顔を合わせると、お互い迷わずに謝った。

結局、1日も続かなかった喧嘩だが私達にしては長かったと思う。

どんな喧嘩も日を跨ぐことは無かったし、どちらか片方が謝ってから許してもらうってことが多かったから両方謝るのは珍しい。

時間が長くなると不安になるのは二人とも一緒だったのだろう。


「頼ったのがあいつらだと思うと、ちょっとイライラして」

「頼ったっていうか、気付いたら誘拐犯に殴りかかってた」


なにそれ、と晴也が笑った。