晴也が本当の高校へ行ってしまった朝。

突然路地裏に引っ張られてクスリを嗅がされかけた。

クスリを嗅がないように息を止め、力が抜けたように抱え込まれると口と鼻にあてられたハンカチが離れたので、とりあえず呼吸を整えた。

誘拐とかそういう部類だろう、と下着に埋め込まれたGPSの緊急ボタンを押した。

これで近くにいるはずのSPが駆け付けて、本家の方に連絡が行き、すぐに通報と犯人の割り出しが完了するだろう。

私はただ身を任せていれば…