「切れ目を入れる?」

「包丁?」

「なんか、打ち付けてひび入れてるのを見たことがある」

「打ち付ける!?そんなことしたらグチャグチャになるんじゃ…」

「料理にはチャレンジも必要なんだよ」


私達は意を決して入れ物の中に卵を叩き付けた。

衝撃で割れた殻、中から黄色い部分と透明のドロっとした部分が出てきた。
その中にはバラバラになった殻も混ざっている。


「これって、中身だけ取り出すんじゃないの?」

「殻を取ればいいんじゃない?」


笑顔で晴也を見つめれば、はいはい。と言って卵ミックスを自分に寄せ、黙って取り出し始めた。

分かっているじゃないか。


____この後、殻は綺麗に取れたが取り返しのつかない問題が次々と起き、結局出前を頼むことになった。