「…荷物多くない?」


入り口に積まれた箱を見て、晴也に聞くと


「これ、俺じゃない」

「え?」

「多分母さん…家出るって言ったら色々持たせようとしてきたから、振り切ったんだけど。勝手に運び込むとは…」


晴也のお母さん、心配性だもんね。

ウチのお母さんもそれくらい構ってくれたら嬉しいんだけど。


「ご飯作ってから、片付けようか」

「うん」


二人で荷物を倒さないようにキッチンに向かった。

荷物は入り口と空き部屋に入れられたらしく、リビングとキッチンはとりあえず無事だった。


「食料は?」

「一応買ってる」

「何作るの?」

「オムライス」


難易度は高いが、私が食べたかったのだ。


「失敗した時のために二食分用意してたけど、晴也が来たから失敗は許されないね」


晴也は、帰りに材料を買い足せば良かったんじゃ…と思ったが口には出さなかった。


「とりあえず、お米どうしよう」

「炊いてからケチャップ混ぜるのか、ケチャップと炒めるか…」


二人で、お米の袋を片手に真剣に議論する。