「なんか、いじめ止まったっぽいから…もう行こ?」

「あ、うん。 もうイジメはやめろよー!」


早々と教室を出て行った晴也を追いかける前に、釘を指しておくと「はい」という返事が返ってきた。


「分かってるなら、いいんだよ」

「咲」


晴也に強く手を引かれて廊下に出た。


「どうしたの?」

「あのブスいたじゃん?」

「あぁ…めっちゃ晴也見てたよね」

「あんなあからさまに、惚れました感出されるとウザい」


私と同じように、よくパーティーに連れて行かれる晴也は、その地位と容姿ゆえに女の人がたくさん寄ってくる。
そうなってくると、段々女性に嫌悪感を抱いてくるらしく、こうやって冷たいことを言うことも多々ある。

あの子、王子様に憧れてるらしいから…もしかしたらもしかするかも知れない。

晴也は譲らないけどさ。