「いいから、行くの!」


晴也の手を引くと、渋々ながら晴也も走ってついてきてくれた。

たどり着いたのは昨日も来た教室。

いじめっ子と対峙した場所だ。

扉から少し覗き込むと、昨日と同じように机を囲んでいる生徒たちがいる。


「あぁ!もう!」


教室に入ろうとした私を止めて、晴也が代わりに扉を開けた。


「それくらいにしたら?」


晴也が入った直後に静かになった教室。

後ろにピッタリとくっついていた私は、少し顔を出してみた。


「あ!昨日のやつ!」


私と晴也の顔を見つめて固まっている生徒の中に、昨日顔面から蹴り倒した少年を見つけ、指差しながらそう言うと「暴力女…」という呟きと共に生徒たちが慌てて机から離れた。

嘘だろ?と私の顔を見てボーッとしていた数名の男子生徒も、他の生徒に引っ張られて机から離れた。

なんなんだよ。と思っていると机に座っていた女子生徒がこちらを見て…ていうか晴也を見て目を輝かせた。

昨日は気にならなかったけどあの子…顔に付いてる肉とニキビが凄いな。

気を使えば、もう少し可愛くなると思うけど…