「なんか、ごめん?」

「多分大丈夫だと思うけど、ここの学校、大和グループ会長の三男がいるんだよね」

「…は?」

「いるんだよ」


大和グループって、あの大和グループだよな?と確認してくる晴也に、他にないと思うよ。と答えると晴也は少し難しそうな顔をした。


「俺、三男の顔見たことないんだけど…挨拶に行った方がいいかな?」

「ちなみにね?私が喧嘩売った暴走族の総長いたじゃん?」

「あ、あぁ」


突然話を戻した私に、晴也が薄々勘付いたらしく呆れた表情を見せた。


「それが、大和グループの三男です」

「もう流石としか言えないわ」

「え、照れる「褒めてないし」

「なんで、目を離した隙に敵ばっかり作るの?狙ってやってるの?」


晴也の少し怒ったような言い方は私を心配してるからだろうと思い、素直に反省する。


「とりあえず、何か起きたらすぐに連絡して。前の学校だって通わなきゃいけないし仕事だってあるからずっとはいられないけど、呼ばれたら全部置いて来るから」

「分かった」

「じゃあ、携帯出して」


わざわざ新しく買った携帯を晴也に渡すと、晴也は当然のようにロックを解除した。

流石っすね、前と番号変えたのに。


「…っ!」


なぜか、顔を赤くして目を伏せた晴也に首を傾げた。


「どうかした?」

「待ち受け」

「晴也と私の写真だよね?」

「不意打ち食らった気分だわ」


顔を赤らめたまま、赤外線で連絡先を交換し終えた晴也は私に携帯を返した。


「荷物ってどうした?」

「もう運んで貰ってる」


セキュリティ面で選んだはずのマンションに不安を感じた。