晴也は怒っても絶対に暴力は振るわない、が…それ以外ならなんでもする。

私が猫や犬が苦手なのを知っていて、大量の猫と犬を放った部屋に閉じ込められてガチ泣きしたのは最近の話だ。


「お仕置きは…俺と一緒に住んで」


何が来るか、とヒヤヒヤしてたので拍子抜けだった。

犬猫事件の時は、晴也の食べ物にワサビを入れただけだったから、今回はもっと酷いものだと思っていた。


「そんなのでいいの?」

「うん。これは俺が嬉しいから」


笑顔でそう言う晴也。


「やっぱり晴也、私のこと大好きだよね」

「そんなの今更じゃない?咲(えみ)こそ、俺のこと好きでしょ?」

「もちろん」


即答すると、晴也は優しく笑った。

私と晴也は、世に言う政略結婚をさせられるのだが…

幼い時から仲が良かった私達に不満など全くない。

むしろ、反対されても結婚するくらいだろう。


「で、咲の方はこの数日どうだった?楽しいこと見つけられた?」

「いや、なんか…人生の厳しさを知った」


複雑そうな表情を浮かべる私に晴也は、続きの言葉を待っている。


「まず自己紹介の時にりょーじ以外のクラスメイトを敵に回して、二日目で暴走族の総長に喧嘩売って、いじめを見つけてぶちのめしに行ったら、そこのクラスも敵に回した」

「…なんか、想像以上だった。あと、なんでマスクとサングラスつけてたの?」

「顔バレするかなーと思ったけど、晴也が怖くて外しちゃったわ」


元からマスクとサングラスつけてなかったら自分のクラスを敵に回すこと無かったのに。