「城ヶ崎は興味ねーの?あいつ」


前の席のりょーじが振り返って私に話しかけた。


「いや、興味無いっていうか…なんていうか…」


色々とパニックになり目をつぶっていると、耳に足音が聞こえた。

さらに足音は近づいてくる。

そして、足音の主は私の前で止まった。

ゆっくりと目を開けると、主はニッコリと微笑み口を開いた。


「城ヶ崎さん」

「はい…?」

「これ、何?」


晴也はりょーじを指差して首を傾げた。


「えっと…スキンヘッド?」

「ふざけてるの?俺、怒ってるからね?」

「ごめんなさい…」

「マスクとサングラス邪魔」


おずおずとマスクとサングラスを外すと、クラスが静まり返った。

晴也は私の手を引いて立たせると、そのまま抱きついた。

私の位置からはクラスメイトの驚いた顔と暁の不機嫌そうな顔が見えて、居心地が悪いことこの上なかった。


「晴也」

「会いたかった」

「うん、分かった。分かったから離そうか」


チッ…

舌打ちしやがったな?


晴也は一回離れると、クラスメイトに向き直った。


「これ、俺の許嫁だから。手をだしたら男でも女でも潰すよ?」


爆弾発言をした晴也に男子も女子も周りの迷惑も考えず大きく驚きの声をあげ、冗談じゃなく学校が揺れた。