「何か反論があるなら、彼女の口からじゃなくて自分の口から言ったら?」

「もういい」


悠哉は、悔しそうにそう言うと私に背中を向けて歩いていってしまった。

礼奈も私をキッと睨むとそれについて行く。


「…暴走族の総長に喧嘩売っちゃった?」


まぁ、いいけどーと言いながら廊下をそのまま歩く。

するとある教室から盛大な笑い声が聞こえて覗き込む。


「これでもまだ、頑張らなきゃ私が私じゃなくなる!とか言うの?」

「いつか私たちには天罰が下るんだって?」

「いじめられてんのは自業自得だろ。いい加減自覚しろ」


男女数人が何やら一つの机を囲んで騒いでいる。
おそらく、そこに座っている女子生徒がいじめられているのだろう。

クラス中がそれを見て笑っている。