「なんていうか、飽きたわ」


教室の中で、窓際の一番後ろというベストポジションに座っている少女は綺麗な黒髪をいじりながら呟いた。

クラスにいるのは、親の金で生きていくことが決まってるような何も出来ない子供たち。

かくいう私も、何もしなくても親の金で生きていけるのだが…

それではつまらないんだよ。


「飽きたって…何にですか?」


隣の席の、メイクバッチリな女が訪ねてきた。


「まず、この学校でしょ?勉強しなくてもいいし、サボっても何も言われないって…自分はここにいてもいなくてもいいってことでしょ。必要とされてない感ある」


いつの間にか授業は中断されて生徒は全員私を見ていた。

先生は、誰も自分を見てないのだから授業をする必要はないと思ったのだろう。


「あと、今の生活かな。しょっちゅうあるパーティーで周りの大人と仲良くしてたら将来が約束されるって…簡単すぎるし、何でも買い与えられて自分で手に入れることの大切さとか分からない。それと…」


クラスメイトの顔を見渡すと、キラキラとした目で私を見ている。

この子達の生活の中で、イレギュラーで楽しいと思えるのは私の存在だけ。


「あなたたちかな。話してても昨日のパーティーの話とか、海外のお土産で何を貰ったとかの話で楽しくない。」


もっと楽しいことがあるのに、それが存在することも知らずに、このまま一生を終える。

私はそんなの嫌よ?